【資源節約・再利用】ごみ削減に貢献するオリジナルパッケージとは
SDGsの考えが浸透し、「商品が消費者の手に渡った後」の環境負荷についても考慮し、見直しをおこなう企業が増えています。具体的には、ごみとして処分される際の埋立や焼却による二酸化炭素の排出や地球温暖化への影響などです。
また、こうした環境面での課題だけでなく、日本のごみ問題は、「処分場の確保」という面でも深刻化しています。
環境省の発表によると、2022年度末における廃棄物最終処分場(ごみを埋め立てて最終的に処分する施設)の残余年数※は全国平均で23.4年です。つまり、このままの状況が続けば、最終処分場は23.4年で容量を超過してしまうのです。
※残余年数:新規の最終処分場が整備されず、2022年度の最終処分量により埋立がおこなわれた場合に、埋立処分が可能な期間
参照:環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について」(2024年3月28日)
このような背景を踏まえ、今回は日本のごみ問題の現状について見るとともに、ごみ問題の解決に貢献するパッケージアイデアについてご紹介します。
日本のごみ問題の現状とその影響
環境省の発表によると、2022年度のごみ総排出量は4,034万トン(東京ドーム約108杯分)。1人あたりに換算すると、1日に880gのごみを排出していることになります。また、1人1日あたりの家庭系ごみ排出量は49gです。
排出量は減少傾向ですが、最終処分場の数と残余容量も減少傾向にあり、最終処分場の確保が厳しくなっているのが現状です。
最終処分場が確保できなくなると、ごみを回収しても適切に処分できず、環境汚染や衛生環境の悪化につながります。環境面や衛生面に配慮した適切なごみ処理がおこなわれる状況を維持するためには、ごみ削減への取り組みが不可欠です。
【3R】パッケージでできるごみ問題への対策とは
ごみ問題を解決するためにパッケージではどのようなことができるでしょうか。 ごみ削減のためには、環境と経済が両立した循環型社会を形成していくための取り組み「3R(スリーアール)」に則ったパッケージづくりが求められます。
参照:経済産業省「3R政策」(参照日2024年8月16日)
①Reduce(リデュース)・・・廃棄物の発生抑制
パッケージの製造には、紙やプラスチックなどの素材を使用するため、その原料となる木材パルプや石油などの資源を消費します。そのため、資源を過剰に消費することがないよう、内容物にあわせて最適なパッケージ設計にすることが重要です。内容物を保護できる機能は保持しつつ、不必要な部分(無駄な空間や緩衝材、付属品など)を削ることで、資源を節約できるうえ、ごみの減容化にもつながります。また、リサイクルされた素材を活用することも効果的です。
②Reuse(リユース)・・・再使用
パッケージは、内容物を保護するだけでなく、中身の商品の魅力をより引き立てる役割も担っています。そのため、ごみの削減や環境負荷低減を意識するあまり、パッケージが簡素化しすぎてしまうことは、必ずしも適切とは言えません。パッケージを商品の一部のように捉え、何度も使えるような工夫を施すことで、すぐにはごみとして廃棄されにくくなります。また、アフターユースしてもらうことで、ブランドのロゴが刻まれたパッケージが消費者のライフスタイルの一部に溶け込み、ブランドへの愛着を深めてもらうことにもつながるかもしれません。
③Recycle(リサイクル)・・・再資源化
リサイクルしやすいパッケージとは、単一素材(モノマテリアル)※のパッケージです。リサイクルは基本的に素材ごとに分別しておこなわれます。そのため、複数の素材を組み合わせてできた素材は、素材ごとに分別する必要があります。複数素材がラミネートされているものなどは分別が困難な場合もあり、リサイクルできないものはごみとして焼却などの方法で処分されます。単一素材(モノマテリアル)化したり、分別を容易にする工夫を施したりしてリサイクル適性を向上させることで、パッケージの再資源化を推進することができます。また、リサイクル(再資源化)できるパッケージを製造することは、ごみの削減につながるだけでなく、資源の節約にもつながります。
※1種類の素材や原料からできているもの
ごみ削減に貢献するパッケージアイデア
ここからは、「3R」に配慮した具体的なパッケージアイデアをご紹介します。
ストッパーボックス
ストッパーボックスとは、その名の通り、フタの内側に「ストッパー」がついている箱です。一般的なフタ・身セパレート型の箱とは異なり、フタの深さに比べて、身箱がかなり浅くなっている点が特徴です。
フタが深く身箱が浅いと、身箱がフタの中に入り込んでしまうのが通常ですが、フタの内側にある「ストッパー」(黄色丸印の部分)がそれを防いでくれます。
通常より身箱が浅くなる分、紙の使用量を減らすことが可能です。
【「ストッパーボックス」の3Rポイント】
Reduce(リデュース):紙の使用量削減
商品を身箱に入れた際に商品が見える面積が増えるため、ボリューム感を演出できる点もメリットです。また、消費者にとっては、商品が取り出しやすいという特長もあります。
関連記事:
環境に配慮したパッケージの構造設計とは
【過大包装への配慮】パッケージの「適正」な環境配慮設計とは
エコカラ
「エコカラ※」は、企業の事業活動に伴って発生する「廃棄物」を市場から回収し、高濃度でプラスチックと混合させることで各種パッケージへと生まれ変わらせた、ザ・パックオリジナルのパッケージブランドです。
参照:廃材をアップサイクルしたパッケージ「エコカラ」ブランドを販売開始
※エコカラ、エコカラロゴは、ザ・パック株式会社の登録商標です。
エコカラブランドの第一弾として展開しているのは、「卵殻(タマゴのカラ)」を活用したパッケージです。
卵を大量に使用する企業から排出される「卵殻」を回収し、その「卵殻」を石油由来のプラスチック原料の代わりに配合。重量比で3~51%まで卵殻を配合することができ、現在のラインアップは、「エコカラフィルム(手提げ袋などのフィルム製品)」と「エコカラトレー(食品トレーなどのシート成型品)」です。
廃棄物(卵殻)削減に貢献できるうえ、プラスチック原料の使用量削減にもつながるパッケージです。
【「エコカラ」の3Rポイント】
Reduce(リデュース):廃棄物(卵殻)の発生抑制、石油由来のプラスチック原料の使用量削減
卵殻以外にも、製品の生産時に発生した廃棄物(カカオハスクなど)や、回収した自社の使用済み製品(古着など)を活用してパッケージに生まれ変わらせることが可能です。
関連記事:【廃棄物活用】パッケージブランド「エコカラ」とは
ファイルボックスになるパッケージ
使用後にファイルボックスとしてリユースできるパッケージです。ハンドルを取り外すと、2つのパーツに分かれ、ファイルボックスの形状にその姿を変えます。
段ボールなどの強度のある素材を用いることで、より丈夫で長く使用できる収納ボックスになります。
【「ファイルボックスになるパッケージ」の3Rポイント】
Reuse(リユース):収納ボックスとして再利用可能
より再利用していただきやすくするため、インテリアに馴染むようなデザインを施すのがおすすめです。
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【ごみ削減に貢献】アフターユース可能なパッケージ
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クラフトバリア®ヒートシールグレード
クラフトバリア®ヒートシールグレードは、紙製軟包装「クラフトシリーズ™」のなかでも、リサイクル適性の向上にこだわって開発された商品です。酸素バリア、水蒸気バリア、フレーバーバリア性を有する、完全フィルムレスの紙製軟包装で、古紙リサイクル可能※な点が最大の特長です。
※汚れが付着している場合は不可
ヒートシール層にもプラスチックフィルムを使用していないため、重量物を入れるパッケージには向きませんが、軽量でバリア性が必要な内容物向けの紙製パッケージをつくりたい場合におすすめです。
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【「クラフトバリア®ヒートシールグレード」の3Rポイント】
Recycle(リサイクル):完全フィルムレスでリサイクル適性あり
循環型資源である紙からできているうえ、リサイクル可能であることから、ごみ問題および環境負荷低減に大きく寄与することが期待できるパッケージです。
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ごみ問題の解決に貢献するパッケージアイデアをご紹介しました。
自治体が提供するごみ収集サービスが正常に機能し、環境面や衛生面で適切なごみ処理がされる状況を、将来に向けても継続していくためには、企業や消費者の取り組みが欠かせません。
まずはパッケージから、「ごみ削減」「3R」を意識したものづくりを始めてみてはいかがでしょうか。
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