トップメッセージ
サステイナビリティ推進に対する認識
2025年3月26日付でザ・パック株式会社の代表取締役社長に就任いたしました仲村直樹と申します。これまで営業現場で長年にわたりお客様と直接向き合い、課題解決に取り組んできた経験を活かし、今後は当社の代表として全従業員とともに企業価値の向上を目指してまいります。
現在、世界はかつてないスピードで変化を続けており、不確実性が増しています。当社を取り巻く環境においても、世界経済の減速懸念、資源価格の変動、気候変動問題の深刻化、人手不足など、国内外で様々なリスクが顕在化しています。しかし、こうした状況下においても、リスクを的確に把握し、成長に向けた舵取りをしていくことが、私の重要な責務であると認識しています。
当社は2022年に前社長の山下が「サステイナブル経営」の幕開けを宣言して以来、パーパスやマテリアリティ、それらに基づく中期経営計画を策定しました。この3年間で、経営陣が示した明確な方針のもと、社内ではサステイナビリティへの取り組みを「成長に欠かせない要素」として捉える意識が定着しつつあります。私はこの流れをさらに加速させ、サステイナブル経営と本業を一体化させる仕組みを整えることで、当社の持続的な成長をより確かなものにしていきます。まずは、今後の経営戦略にサステイナビリティ強化につながる施策を盛り込み、その進捗に対して責任を持つ仕組みを構築していく予定です。そして長期的には「パッケージを通して社会を豊かに、人を笑顔に」という当社パーパスの実現に向け、社会や市場に新たな価値を提供し続ける企業であり続けます。
「サステイナブル経営」の推進状況と今後の展望
2024年もサステイナブル経営の強化を目指し、多様な施策を推進してまいりました。ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点にもとづき、取り組みの中から特に重要な内容を選び報告いたします。また、今後の展望についても併せて共有いたします。
まず、環境の分野では、環境配慮型商品の拡販を重点的に推進しました。代表的な商品として、フォレスト商品とFSC®商品が挙げられます。
フォレスト商品は、販売額の一部を当社植林地での森林保全活動に充てる仕組みにより、商品をご採用いただいたお客様もパッケージを通じた森づくりに貢献できる点が特徴です。この商品は環境意識の高いお客様に向けた提案として活用されており、2024年には売上高が前年同期比約8%の伸長を記録しました。2025年には新たに和歌山県に10カ所目の植林地を契約しており、お客様とともに地域社会と連携しながら、森林の保全と再生に取り組んでいきます。
FSC®商品は、森林保全の国際基準であるFSC®認証を取得した工場で、責任をもって調達された原材料を使用して製造されたパッケージのことです。環境や社会に配慮した信頼性の高さから、多くのお客様の支持を集めています。「2030年までに紙加工品におけるFSC®商品の売上高構成比を50%以上にする」というマテリアリティ KPI達成に向け、2024年にはお客様の環境への意識を表現する商品として積極的に提案を行い、前年同期比約10%の売上拡大を実現しました。環境への貢献をさらに推進するために、信頼性の高いFSC®認証材の認知度を高めるとともに、サプライヤーとの連携を一層強化し安定供給体制を構築することで、目標達成に向けた着実な前進を果たしてまいります。
次に社会の分野では、人材マネジメントを優先課題として位置づけ、研修や各種制度の拡充、働く環境の整備に取り組みました。当社のビジネスモデルである「お客様の要望に応え、商品をカスタマイズしていく」というプロセスにおいて、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境づくりが重要だと考えています。具体的には、営業のスキルアップをはじめ、営業を支える管理スタッフ、商品開発を担うクリエイター、高い品質要求に応えながら効率的な生産を実現する製造スタッフ、そして近年その重要性が高まっているコーポレート部門のスタッフまで、全ての従業員が等しく働き甲斐を感じ、成長できる環境づくりに注力しています。従業員の能力が十分に発揮されることこそが、当社の持続的な成長の基盤になると確信しています。
研修においては、階層別の教育プログラムに加え、営業・商品開発向けの専門的な勉強会の開催や、DX推進を目的とした研修を継続しています。2025年にはこのDX研修が3期目を迎えました。まだ全体規模での業務改革までは遠い道のりだと認識していますが、一部の部署でAIを活用した業務効率化の成果が出始めていることは、今後の可能性を感じます。今後はDXの取り込みを牽引する「デジタル人材」の育成を進め、DX推進による全社の生産性向上を目指してまいります。
働く環境の整備においても、多岐にわたる施策を進めています。2024年には人事評価制度の見直しを行い、特に年々増加している継続雇用者の貢献を正当に評価するための制度改善を実施しました。また、エンゲージメントサーベイの分析を基に、意識改革を目的とした研修を実施するなど、新たな改善の仕組みを導入しました。健康経営の推進や男性育児休業取得の促進といった施策にも注力しており、従業員が安心して多様な働き方ができる環境を整えています。これからも継続的な改善を重ねザ・パックの成長の基盤をさらに強化してまいります。
最後にガバナンスの分野では、リスク管理体制の強化に注力してまいりました。経営環境の不確実性が高まる中、持続的な成長を実現するためには、リスクを的確に把握し、柔軟かつ迅速に意思決定できる体制の構築が不可欠です。そのため、リスクの定期的な洗い出し、評価、対策の策定を徹底するとともに、取締役会の機能をさらに強化し、適切に意思決定が行える仕組みづくりを進めてまいります。2025年3月には経営陣の世代交代を実施し、今まで以上に現場感覚を重視した視点を経営に取り入れる体制を整えました。今後も、適切な経営判断をくだせるよう、建設的で実効性の高い議論の場になるよう充実させていきます。
また、ステークホルダーとの信頼関係を深めるため、情報開示における透明性の確保を最優先し、誠実かつ分かりやすいコミュニケーションを心がけていきます。具体的には、財務情報にとどまらず、非財務情報も積極的に開示し、当社の理念や事業活動への理解を深めていただけるよう努めてまいります。これらの取り組みを通じて、ステークホルダーの皆様にとって、より信頼され、共感される企業を目指してまいります。
ステークホルダーへのメッセージ
当社は2024年に過去最高の業績を達成することができました。この成果は、ターゲット市場での売上が牽引したこと、そして全従業員が一丸となり、目標に向かって努力を重ねた結果です。私は、当社の最大の強みは「人」にあると信じています。従業員一人ひとりが挑戦を続けたことで、この成長につながりました。
こうして得られた利益は、次の成長に向けて設備投資や戦略投資に活用するだけでなく、ステークホルダーの皆さまへも還元できるよう努力してまいります。具体的には、株主の皆さまには安定した配当を実現し、取引先とは共創を通じて新たな事業機会を創出します。また、従業員の皆さまには賃上げや働きがいのある職場環境の整備を進め、持続可能な成長の循環を創り出していきます。
直近の重要な取り組みとして、大阪・奈良両工場の建て替えプロジェクトが進行中です。このプロジェクトは当社にとって大きな転換期となるものです。事業基盤の強化に加え、生産効率の向上や環境負荷の軽減といった企業としての責任も果たしていきます。また、この新たな製造資本を最大限に活用するため、人材育成や、効率的な運営を実現する仕組みづくりにも積極的にも注力していきます。これらの取り組みを通じて、当社の競争力を一層高め、長期的な成長を確かなものにしていきます。
当社の成長を実現するためには、ステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントが欠かせません。皆さまの声に耳を傾け、そのご意見を真伨に受け止めることで、社会や市場にとって価値のある企業へと進化してまいります。引き続き、ザ・パック株式会社への変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。