環境に配慮したパッケージの構造設計とは

SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けての取り組みが各企業で加速していくなかで、パッケージについての見直しや改善に取り組む企業が増加しています。
プラスチック製のパッケージを紙製に変更=「紙化」したり、パッケージの原料をリサイクル原料や植物由来の原料に変更したりと、素材を切り替えることで環境負荷を低減する事例は、昨今のニュースや各社のプレスリリース、広告などで、頻繁に目にするようになりました。
SDGsに対応したパッケージ素材についてはこちらの記事でご紹介しています。
【SDGs対応】パッケージで社会貢献!付加価値が高いおすすめの素材 その1
【SDGs対応】パッケージで社会貢献!付加価値が高いおすすめの素材 その2
ザ・パックではこれまで、素材の研究開発はもちろんのこと、より環境負荷の少ない「パッケージの構造設計」についても研究開発を続けてきました。
そこで今回は、「環境に配慮したパッケージの構造設計」について、具体例3種類を交えながらご紹介します。
目次
構造設計において環境に配慮するということ
ザ・パックの販売するパッケージ全体のなかでも、占める割合が年々増加している「化粧箱(紙器)」。中身の商品をきちんと保護するため、特に緻密な構造設計が求められるパッケージで、主に厚紙や段ボールシートを加工して製造しています。
紙や段ボールはもともとリサイクル率が高いことや、循環型の資源からできている材質であることから、プラスチックと比べると環境負荷の低い素材といえます。
紙や段ボールがなぜ環境に優しいのかについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
【紙をすすめる理由】日本の森林環境問題とパッケージを通じた解決策
【リサイクル】古紙回収率・古紙利用率の優等生!段ボールの再資源化について
製造工程や輸送の際などに必要なエネルギーのことを考えると、環境負荷が低いからといっていくらでも使って良いというわけではありません。用途や目的にあわせて必要な量だけを使う、つまり、「無駄を省くこと」が大切です。 パッケージの構造設計においては、無駄を可能な限り削ぎ落しつつも、パッケージ本来の役割を果たせるよう配慮する必要があります。
パッケージの役割として、商品を保護することはもちろんですが、ほかにもさまざまな役割があります。具体的な例としては、デザインを通して中身の商品のコンセプトや情報を訴求し、消費者の購入意欲を高めることや、形状を工夫することで商品棚に陳列しやすくすることなどが挙げられます。
それぞれのパッケージに求められる役割をきちんと果たすために必要な条件を満たしながら、無駄な部分を省いたり、あるいは、まったく異なるアイディアを取り入れたりして、適正な構造設計から成るパッケージを提案すること、それが私たちの役割です。
ここからは、「環境に配慮したパッケージの構造設計」の具体例を3つご紹介します。
写真映え!紙の使用量を削減しつつ商品をより際立たせる「ストッパーボックス」
はじめにご紹介するのは、「ストッパーボックス」です。
ストッパーボックスとは、その名の通り、フタの内側に「ストッパー」がついているパッケージです。
一般的なフタ・身セパレート型の箱とは異なり、フタの深さに比べて、身箱がかなり浅くなっている点が特徴です。通常は、フタが深く身箱が浅いと、フタが落ち込みすぎてしまう=身箱がフタの中に入り込んでしまうのですが、フタの内側にある「ストッパー」がそれを防いでくれます。
通常より身箱が浅くなる分、紙の使用量を減らすことができる点で、「環境に配慮したパッケージの構造設計」であるといえます。
また、ストッパーボックスのメリットは環境に優しいことだけではありません。
商品を身箱に入れた際に、商品が見える面積が増えるため、見た目が華やかになり、ボリューム感も演出することができます。また、消費者にとっては、商品が取り出しやすいというメリットもあります。
商品の写真を撮影する際、中身の商品が明るく映るため、カタログやWebサイトに掲載する商品用のパッケージとして最適で、贈答用の日本茶や紅茶の缶を入れる用途でのご採用が多い形式です。
汎用性抜群!無駄のない「クロスパック」
次にご紹介するのは、「クロスパック」です。
クロスパックとは、その名の通り、クロスすることで組み立てるパッケージです。
商品を包む前の状態はこちらです。
一見するとただの一枚のシートにしか見えませんね。
シートに入っている切り込み部分を持ち上げ、罫線が入っている部分をクロスさせることで、商品を包みます。クロスパックの使用方法についてはこちらの動画をご覧ください。
包む際に、商品の高さにあわせて折り曲げることで、さまざまな商品に対応することができる点が特長です。
クロスパックは、それ自体では箱としての形を成さないため、片段(片面のみがなみなみになっている段ボール)シートや厚紙などの比較的丈夫な素材を用いて製造することが多いです。
さまざまな商品を入れるパッケージとして兼用でき、汎用性が高いことから、中身の商品ひとつひとつにあわせたサイズのパッケージを用意する必要がないため、包材の種類を削減することが可能です。
また、商品を包む前の状態=展開図は長方形になるため、効率の良い、無駄のない紙取りが可能です。それにより、「あまり紙」として捨ててしまう部分を減らせるだけでなく、パッケージ1つあたりにかかるコストを削減することにもつながります。
クロスパックの特長がもっとも効果を発揮するのは、ある程度形が定まっているなかで、商品によって少しずつサイズに差があるものを包む際です。そのため、CDや書籍などを包む用途での使用がおすすめです。
設計の力で素材を強化!薄くても強い「FSケーキ箱」
最後にご紹介するのは、「FSケーキ箱」です。
これまでの2つの具体例は、パッケージの「形状」を工夫することで紙の使用量を削減していましたが、FSケーキ箱は、使用する紙自体の厚みを薄くすることで紙の使用量を削減しているのが特徴です。
通常、用途や中に入れる商品の重さなどによって、適正な紙の厚みを選択する必要がありますが、適正な厚みより薄い紙を使用した場合でも、設計の工夫によって強度を補うことが可能です。
FSケーキ箱はその一例です。このパッケージの背面部分は、紙の重なりが糊しろ部分のみのため、もっとも強度が低い部分です。そこで、この背面部分に補強リブ(肋骨のような形状の凹凸)を入れることで、強度を上げることができます。
中の商品を保護するためには、適正な厚みの紙を使用することも重要ですが、「環境負荷低減のため、使用する資源はできる限り減らしたい」「在庫スペース削減のため、使用する紙はできるだけ薄くしたい」という場合に適したパッケージです。
適正な構造設計
「環境に配慮したパッケージの構造設計」の具体例3種類をご紹介しました。
中に入れる商品や用途、使用目的、重視することによって、さまざまな素材のバリエーションがあるパッケージですが、同様に構造設計にも多くのバリエーションがあります。
ザ・パックにはパッケージの構造設計を専門にしているスタッフが多数在籍しており、お客様のご要望に応えるべく、日々、パッケージと向き合いながら創意工夫しています。
詳細や具体的な事例についてはこちらでご紹介しています。
パッケージづくりのプロ集団
【化粧箱】形式・構造設計で課題解決!手に取りたくなるパッケージとは
最後に、今回ご紹介した化粧箱の特長をまとめます。
特長 | 中に入れるのに適したもの | |
ストッパーボックス |
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見栄えの良さが求められる商品やカタログやWebサイトに掲載する商品 ( 贈答用の日本茶や紅茶の缶など) |
クロスパック |
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ある程度形が定まっているなかで、商品によって少しずつサイズに差があるもの (CDや書籍など) |
FSケーキ箱 |
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ケーキ (特に使用する資源量を削減したい場合や使用する紙の厚みをなるべく薄くしたい場合) |
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