【新たな価値を創出】消費者の防災対策を促すパッケージアイデアとは

前回に引き続き、今回も「防災市場」に向けたパッケージがテーマです。
「防災市場」特集の第1弾では、防災意識の高まりにより注目を集める「防災セット」におすすめのパッケージを紹介しました。消費者のニーズにあわせて“かたち”が変わる設計を施すことで、商品価値を高めることが可能です。
参考記事:【有用性向上】災害時の消費者ニーズに応える“かたちが変わる”パッケージとは
「防災市場」特集の第2弾となる今回は、日常的に購入してもらうことを想定した商品でありながら、災害時の備えにも役立つパッケージアイデアをご紹介します。既存の商品に「防災向け」という新たな訴求方法を見出すことで、これまで接点のなかった顧客層へもアプローチすることができるかもしれません。
目次
- 生活者の防災対策の状況
- 日常の買い物が災害への備えに!安心を提供するアイデアパッケージ
①使い捨て皿(トレー)として利用できるパッケージ
②ローリングストックに適したパッケージ - おわりに~新たな価値を提供するパッケージとは~
生活者の防災対策状況
パッケージアイデアの紹介に移る前に、生活者の防災意識と行動がどのように変化しているのか見てみましょう。
こちらは株式会社インテージが実施した「地震に対する不安の度合い」および「家庭での防災対策(世帯人数別)」に関する調査結果です。 出典:「インテージ 知るギャラリー」2024年4月9日公開記事
2024年2月の調査結果を見ると、地震に対して一定以上の不安を感じている人は約88%でした。多くの生活者が地震に対する不安を抱えているようです。また、2023年8月の調査と比較すると、不安を感じている人が増加しています。
次に「家庭での防災対策(世帯人数別)」について見てみましょう。 出典:「インテージ 知るギャラリー」2024年4月9日公開記事
多くの生活者が不安を感じている一方で、家庭での防災対策(地震以外の防災対策も含む)を実施している人は半数程度でした。特に単身世帯では、防災対策を実施している人の割合は約33.1%と、他の世帯と比べて低いことがわかります。
防災意識は高まっているものの、必ずしも具体的な行動に移せているわけではないようです。
「何か防災対策をしなければ」と思いながらも行動に移せずにいる人も多いのではないでしょうか。
そのような消費者へアプローチする方法のひとつが、「災害時の備えにも役立つパッケージ」です。日常的に購入してもらうことを想定した商品のパッケージに、災害時の備えとなりうる機能を追加することで、消費者側は心理的な負担を感じることなく気軽に防災対策をおこなうことができます。
以下では、食品や日用品におすすめの、災害時の備えにも役立つパッケージアイデアをご紹介します。
日常の買い物が災害への備えに!安心を提供するアイデアパッケージ
①使い捨て皿(トレー)として利用できるパッケージ
災害が発生すると、停電や断水などの影響でライフラインの確保が困難になる場合があります。特に断水の状況では、水が非常に貴重なものとなります。飲み水だけでなく、生活用水(トイレやお風呂など)の確保も不可欠です。
そのような状況下では、水の使用量を少しでも減らす必要があるため、洗う必要のない「使い捨て皿(トレー)」が役立ちます。また、避難所などの家以外の場所では、食事を摂るための容器が不足していることがあります。そんな時には、使い捨て皿が食事の際の容器として活躍します。
以下では、使い捨て皿として利用できるパッケージを2つご紹介します。
フラワーオープンボックス
まずご紹介するのは、フラワーオープンという形式の箱です。
この箱は、フタと身の2つのパーツからできていて、フタを閉じている時の見た目は一般的な四角い箱と変わりありません。特徴的な点は、フタを外すと身箱がふわりと広がることです。
広がった身箱はお皿として利用することができます。食品対応の紙素材を使用したり、加工を施したりすれば、食品が直接触れても問題ありません。
商品パッケージでありながら、簡易な食器にもなる機能的なパッケージです。
折りたたみ式テーパーボックス
次にご紹介するのは、折りたたむことができる紙製トレーです。
最大の特長は、省スペースであることです。平らな状態に折りたたむことができるため、保管スペースを削減できます。
また、トレーの側面を起こすだけで簡単に組み立てることができるほか、四隅が折り返されて二重になっているため、食品を入れたときに汁漏れしにくいというメリットもあります。
参考記事:箱のかたち、いろいろ。パート2(テーパーボックス編②)
折りたたみ式テーパーボックスは、使い捨て皿として中に入れる食品とセットで販売するのがおすすめです。たとえば、下記のような活用方法が想定されます。
- カレーなどのレトルト食品とフリーズドライの米とセットで販売し、お皿として使用してもらう
- 中華あんかけなどの冷凍食品とセットで販売し、レトルトご飯と組み合わせる丼ぶりとして使用してもらう
特に、深さのある容器が必要な食品(丼ものなど)とセットにすることで、省スペースであるという利点を最大限に生かすことができます。
また、折りたたみ式テーパーボックスは、廃棄時のスペース(ごみの体積)削減にも貢献します。そのため、災害の影響でごみ収集がおこなわれなくなった場合など、家庭内(施設内)でごみを長期間保管しなければならない状況においても安心です。
➁ローリングストックに適したパッケージ
「ローリングストック」とは、普段の食品や日用品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限や使用期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品や日用品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
ローリングストックのポイントは下記の2点です。
- 費用、時間の面で、普段の買い物の範囲でできる
- 買い置きのスペースを少し増やすだけで済む
参照:農林水産省「簡単!『ローリングストック』」(2019年3月)
こちらは円柱型のアイテム(缶詰など)をローリングストックすることを想定したパッケージです。
買い足したものをパッケージ上部から補充し、下部の取り出し口からでてきたものを使用することで、賞味期限や使用期限が近いものから順番に使うことができます。
また、パッケージに窓を付けて中身が見えるようにすることで、ストック量やストックされているものの賞味期限や使用期限を確認することが可能です。箱の中でころころと転がる様子が見えるので、楽しみながら防災対策に取り組むことができます。
このパッケージを効果的に活用するためには、内容物のサイズが適切であることが必要です。そのため、商品をローリングストック用のパッケージとセットで購入していただくことで、他社商品への乗り換えを防ぎ、商品のリピート率を向上させることもできるかもしれません。
おわりに~新たな価値を提供するパッケージとは~
災害時の備えにも役立つパッケージアイデアをご紹介しました。
日常的に購入する商品が災害時の備えにもなることで、消費者は気軽に防災対策に取り組むことができます。単に商品を提供するだけでなく、「災害への備えができている」という安心感も提供できるのです。
これまで2回にわたり、「防災市場」にフォーカスしたパッケージアイデアをご紹介してきました。
参考記事:【有用性向上】災害時の消費者ニーズに応える“かたちが変わる”パッケージとは
ご紹介したような工夫をパッケージに取り入れることで、以下のような効果を期待できます。
- 新たな価値創出、高付加価値化による消費者満足度の向上
- 新規顧客の獲得や顧客層の拡大
さらに、パッケージを通じて消費者の防災意識を啓もうおよび行動変容を促進することで、安心で安全な社会の実現にも貢献できます。
ぜひ防災対策に配慮したパッケージの企画・販売に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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