昭和のアイコン「黒電話機」を紙1枚で再現!温故知新のパッケージデザイン ―ザ・パックデザイナーが「昭和100年パッケージ展」で問いかける未来 Part2―

もしも「昭和」が続いていたとしたら?
そんなユニークな問いかけをテーマに開催された「昭和100年パッケージ展」(開催期間:2025年12月23日~30日/主催:公益社団法人 日本パッケージデザイン協会)。この創造性あふれる展示会では、昭和のパッケージデザインの歴史を振り返りつつ、現代のデザイナーたちが「昭和」をテーマに創作した作品が披露されました。
参照:8/02/CUBE/昭和100年パッケージ展
前回の記事(『ヒャクネン石鹸』のレトロなパッケージが誘う、記憶の中の昭和風景 ―ザ・パックデザイナーが「昭和100年パッケージ展」で問いかける未来 Part1―)では、パッケージクリエイター・高田の作品『ヒャクネン石鹸』についてご紹介しました。今回は第2弾として、ザ・パックのパッケージクリエイターである赤澤と勝崎が共作した作品『自動ダイヤル式黒電話機』についてご紹介します。
なぜ彼らは題材として「黒電話機」を選び、どのように「紙」という素材でそのレトロな世界観を表現したのか。出展作品に込められた想いや制作の舞台裏をインタビュー形式でご紹介します。
パッケージクリエイタープロフィール


1990年入社。現在は西日本のお客様を中心に、パッケージに関わるディレクションやデザインを担当。食品、土産菓子、ペット用品、看板など幅広いジャンルのデザインに携わった経験を持つ。
2022年入社。現在は西日本のお客様を中心に、化粧品、食品、セット箱などさまざまな分野の商品開発・設計に携わる。幼少期から趣味として「折り紙」を続けており、展示会などにオリジナル作品を出展するほどの腕前を持つ。
▼過去に制作した折り紙作品(画像左:ゴリラ、画像右:ガラパゴスゾウガメ)
昭和プロダクトのマスターピース(傑作)「黒電話機」に着想を得る

メッセージを伝える箱『自動ダイヤル式黒電話機』
――今回、「昭和100年パッケージ展」に赤澤さんと勝崎さんが出展したのは、「黒電話機」をモチーフにした作品ですね。この作品のテーマやコンセプトについて教えてください。
ザ・パック 赤澤:
テーマは「メッセージを伝える箱」です。黒電話機を「メッセージを伝える箱」、つまり「パッケージ」に見立てて、多面構成の折り紙で表現しました。
――制作段階で頭の中に描いていたイメージや着想のきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
ザ・パック 赤澤:
難しい説明を聞かなくても、誰もが「ああ、昭和。懐かしい」と感じるような作品を表現したいと考えたのが着想のきっかけでした。黒電話機はまさに昭和プロダクトのマスターピース(傑作)。令和の現在もアイコンとして日常で見かけるその唯一無二の存在感を示したいと思いました。
ザ・パック 勝崎:
ザ・パックは紙加工品をメインに取り扱うパッケージメーカーです。だからこそ、「紙を折るだけでできている」という意外性で、見る人があっと驚くような作品をつくりたいという思いがありました。そこで、私が趣味で培ってきた折り紙の手法を活かし、黒電話機の特徴的なシルエットを再現することで、作品を通して昭和の時代へと思いを馳せていただきたいと考えました。
――多くの人が共通認識を持つ「黒電話機」という普遍的なモチーフから感じられる、「懐かしさ」や「レトロ」、「ノスタルジー」といった要素が、作品の大きな核となっているのですね。この作品に、お二人はどのような想いやメッセージを込めたのでしょうか?
ザ・パック 赤澤:
現代では個人で所有する携帯電話が主流ですが、昭和時代は黒電話を多人数で共有するのが一般的でした。共有のツールであるからこそ生まれるさまざまなドラマが、当時は数多く存在したように思います。黒電話機が、昭和の人々の感情を揺さぶるツールであり、まさに「生活の中心=HUB(ハブ)」であったことを伝えたいと思い、制作しました。
ザ・パック 勝崎:
一般的な折り紙のイメージとのギャップに、純粋に驚いてもらえたらという気持ちで制作しました。また、普段から紙製パッケージを設計している立場として、パッケージの設計的な要素も作品に組み込みたいと思っていました。そのため、黒電話を変形の「箱」としてとらえて設計しており、各面が閉じた「箱」になっている点がポイントです。
――この作品は、昭和を代表するコミュニケーションツールであった黒電話機をパッケージとして再現するという、非常にユニークな発想でつくられています。パッケージが単に商品を包む「入れ物」ではなく、それ自体がメッセージを伝える「コミュニケーションツール」であるということを間接的に訴えかけているようにも感じられますね。
「1枚の紙」に宿る技術
――この精巧な作品は、どのようにして生まれたのでしょうか。制作するにあたってこだわった点を教えてください。
ザ・パック 赤澤:
1番のこだわりは、「1枚の正方形の紙からできていること」です。ただし、本体と受話器で2分割してからの折り紙になっています。
ザ・パック 勝崎:
私も「紙」という単一の素材のみを用いるというこだわりは当初からありました。流線形の本体と、受話器、それらをつなぐコード部分など、素材や質感の違いを「折り方の工夫」で表現しています。本体にはなるべく余計な折り目や折りふちが出ないよう設計することで、なめらかなボディを再現しました。
――デザインやギミックの部分でも細やかなこだわりが感じられます。
ザ・パック 赤澤:
ダイヤル部分は凹凸を付けるレリーフ加工で表現しています。あえて印刷や着色はせずに、素材で見せることにこだわりました。 
ザ・パック 勝崎:
受話器のコードにはいくつかの仕掛けがあります。たとえば、実物のコードのように伸び縮みするギミックを盛り込んだり、よりリアルに絡まっているように見える構造にしたりと工夫しました。コード全体を細長い1本のパーツで折り出すのは現実的ではないため、2本のパーツを折り出し、うち1本を丸めて輪にすることで、複雑なコードの絡まりを表現しています。 
――この作品は、見るたびに新しい発見があり、驚かされるばかりです。黒電話機のような複雑な形状を、たった1枚の紙で再現する過程では、困難もあったのではないでしょうか?
ザ・パック 勝崎:
受話器を置く部分は特に複雑な形状をしているので、どのような構造にするか悩みました。ただ、一見複雑に見えるパーツも、単純なパーツがいくつか集まった集合体としてシンプルに捉えることで、比較的容易に折り出すことができました。
▲制作過程のスケッチや試作
創造の先に拓く、パッケージの未来
――今回の展示会に参加して、ご自身のデザイン活動にどのような影響がありましたか?
ザ・パック 勝崎:
先ほど赤澤さんからもコメントがあったように、ダイヤル周辺にはレリーフ加工を施しています。これは、通常は折り紙に用いられない、パッケージならではの技法です。この技法を応用することで、細かくて実現が難しいパーツを「紙1枚」という制約のなかで表現することができました。
この経験を通じて、パッケージの設計においても、折り紙作品づくりにおいても、これまで以上に表現の幅を広げることが可能になると感じています。今後のパッケージづくりにも、この新しい可能性を積極的に活かしていきたいです。
――最後に、パッケージの未来や可能性について、お二人はどのように考えていますか?
ザ・パック 勝崎:
現代は、省人化・省資源化が急速に進んでいます。この機会に改めて昭和の時代のパッケージを見てみると、その姿が大きく変化してきたことが分かります。時代が変われば、パッケージの姿や在り方も必然的に変わっていくものです。
パッケージの未来や可能性についての見通しを立てることは簡単ではありません。しかし、パッケージに携わる立場として、時代の変化にいかに柔軟に対応できるかが、重要な課題だと考えています。
ザ・パック 赤澤:
近年、環境負荷低減が強く叫ばれています。そうした観点から、商品をお客様にお届けする究極の姿は「パッケージレス」だと考える方もいらっしゃるかもしれません。実際に海外ではリターナブル瓶の活用例が見られますし、昭和の時代にもパッケージを使わずに商品を販売していた例もありました。
しかし、令和の現代において、完全にパッケージがなくなってしまうと、商品の保護や品質の維持、他社との差別化が難しくなってしまいます。そして何より、「つくり手が商品に込めた心」がお客様に伝わらなくなってしまうのではないでしょうか。私は、パッケージは単なる容器ではなく、「人の心を伝えるツール」であると考えています。だからこそ、パッケージメーカーである私たちの使命は非常に重要だと考えています。 
今回は、「昭和100年パッケージ展」に出展したザ・パックのパッケージクリエイターである赤澤と勝崎が共作した作品『自動ダイヤル式黒電話機』を通して、そのデザイン哲学とオリジナルパッケージにかける情熱をご紹介しました。
『自動ダイヤル式黒電話機』は、昭和のアイコンである黒電話機を「紙1枚」で精巧に表現することで、レトロな懐かしさと現代の技術が融合したアート作品として、来場者に驚きを与えました。この作品には、見る人の感情を揺さぶり、記憶を呼び覚ますパッケージデザインの奥深さと、その無限の可能性が凝縮されています。
ザ・パックには、赤澤や勝崎のように幅広い分野で活躍し、お客様の課題解決に真摯に向き合うパッケージデザインとパッケージ設計のプロが多数在籍しています。商品の魅力を最大限に引き出し、ブランド価値を高めるオリジナルパッケージの製作をお考えであれば、ぜひ一度ザ・パックにお問い合わせください。
お客様のビジネスを成功に導くため、最適なソリューションをご提案させていただきます。
「昭和100年パッケージ展」に出展したもうひとつの作品である『ヒャクネン石鹼』についての記事をまだご覧になっていない方は、ぜひこちらからご覧ください。
『ヒャクネン石鹸』のレトロなパッケージが誘う、記憶の中の昭和風景 ―ザ・パックデザイナーが「昭和100年パッケージ展」で問いかける未来 Part1― 
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※本事例は2026年1月時点の情報です





