〈後編〉【元祖博多めんたい重様×ザ・パック】お客様の想いをかたちにした、思い出をつなぐパッケージ ―2025日本パッケージングコンテスト受賞―

前編では、「めんたい重®︎」パッケージリニューアルの裏側にある、元祖博多めんたい重株式会社様の熱い想い、そして「想い」をパッケージとしてかたちにするまでの苦労、さらに新しく生まれ変わったパッケージの特長をご紹介しました。
今回は、このパッケージ開発における、お客様とザ・パックの関係性、そして「想い」を共有しながら、共にパッケージをつくり上げていく過程に迫ります。
お客様とザ・パックがどのように関わり合いながら、新しい「めんたい重」パッケージを完成させたのか、その舞台裏をぜひご覧ください。
前回の対談記事をまだご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。
<前編>【元祖博多めんたい重様×ザ・パック】お客様の想いをかたちにした、思い出をつなぐパッケージ ―2025日本パッケージングコンテスト受賞―
対談者紹介
2013年入社。飲食事業部で副店長・店長を経て、マネジメントとして運営全般を統括。
2023年より物販戦略・仕入れ担当に就任。現在は、物販商品の企画開発から仕入れ先との交渉・調達、販売計画の立案・実行までを担うほか、販促施策や催事出店の企画・運営にも取り組んでいる。
2017年入社。現在は、福岡県・佐賀県内のお客様を中心に営業活動を行う。
2023年より元祖博多めんたい重株式会社様を担当。
2012年入社。現在は主に西日本のお客様を中心に化粧品、食品、食器、軽量電子機器とさまざまな分野の化粧箱、配送箱、セット箱などの商品設計や緩衝設計に携わる。
2023年に元祖博多めんたい重株式会社様の「めんたい重」のパッケージ設計を担当。
「思い出をつなぐ存在」としてのパッケージ
――馬渡様は、ザ・パックの提案を受けてどのような印象を持ちましたか?また、パッケージ製作のパートナーとして、ザ・パックを選んでいただいた理由や決め手があれば教えてください。
元祖博多めんたい重 馬渡様:
第一に、パッケージづくりに対して真摯に向き合ってくださる企業姿勢に共感を覚えました。
また、当社の要望を丁寧にくみ取ってくださっただけでなく、ストッパー付きのフタや食べやすさへの配慮など、こちらが気づかない細部に至るまで、さまざまなご提案をいただきました。単なる製造委託ではなく、共にパッケージをつくり上げる「パートナー」としての信頼を感じました。
――嬉しいお言葉をいただきありがとうございます。
オリジナルパッケージは中身の商品ありきのものなので、今回厨房でのテストに繰り返しご協力いただいたように、元祖博多めんたい重株式会社様の協力なしには、今回のパッケージリニューアルは実現できなかったと思います。その意味でも、お客様とザ・パックとの関係性は、まさに「パートナー」と言えるものかもしれません。 冒頭では、馬渡様にパッケージリニューアルにあたっての想いを伺いました(前編に掲載)。ザ・パックと共にパッケージ開発を進めるなかで、特にこだわった点を教えてください。
元祖博多めんたい重 馬渡様:
何よりも「明太子が一番美味しそうに見える」ことを第一に考え、フタを開けた瞬間にお客様が感動できるような形状や設計になるよう、徹底的にこだわりました。 一方で、厨房でのオペレーションに支障が出ないよう、パッケージのサイズは数ミリ単位での調整を重ね、実用性とのバランスを追求しました。
――「めんたい重」のパッケージは、元祖博多めんたい重株式会社様の想いが詰まったパッケージですね。
髙野さんと福冨さんは、元祖博多めんたい重株式会社様との共同開発を経て「めんたい重」のパッケージが正式に採用されたとき、どのようなお気持ちでしたか?
ザ・パック 髙野:
提案内容をしっかりと評価していただいて正式採用が決まったとき、まずはホッとしたというのが正直な気持ちでした。お客様のこだわりやご要望をしっかりかたちにできていたのか、最後まで不安もあったため、結果としてご期待に応えることができ、大きな喜びを感じました。
ザ・パック 福冨:
採用が決まったときは、今までの苦労が報われた喜びと、お客様の要望に応えられたという達成感で胸がいっぱいでした。そして、完成したパッケージを目にしたとき、商品の魅力を最大限に引き出すデザイン、形状、機能性を兼ね備えたパッケージを開発できたと確信しました。
――「めんたい重」の新しいパッケージについて、貴社内での反応はいかがでしたか?また、お客様からの反応があれば教えてください。
元祖博多めんたい重 馬渡様:
今回で「めんたい重」の持ち帰り用パッケージは3代目となりますが、見違えるように良くなったと、社内でも高い評価を受けています。味・見た目・機能性、すべてにおいて“二重丸”をいただきました。
また、お客様からも大変ご好評をいただいており、多くの方がSNSでご紹介してくださっています。
特に県外での催事出店時には、「福岡で食べた記憶が蘇る」といったお声もいただきました。パッケージが、機能面だけでなく、「思い出をつなぐ存在」としても機能していることを実感しています。
距離を超えて、「想い」をつなぐ
――オリジナルパッケージは、中身の商品に合わせた完全オーダーメイドであるため、製作過程において、お客様との密なコミュニケーションや社内メンバーとの連携が欠かせません。ここからは、パッケージをつくり上げていく過程における、やりとりやコミュニケーションについて伺います。 髙野さんは、馬渡様とのやりとりやコミュニケーションで特に意識したことはありますか?
ザ・パック 髙野:
馬渡様からいただくどのような依頼も、まずは「できる方法」を一緒に考えるところから始めるよう意識しました。そのうえで、設計担当の福冨さんやデザインの担当者に相談し、かたちにしていく流れを心がけました。
また、やりとりのテンポが全体の進行に影響するため、レスポンスの速度も意識しました。
――馬渡様にとって、髙野さんとのやりとりはいかがでしたか?
元祖博多めんたい重 馬渡様:
当初はパッケージに関する知識も少なく、悩むことが多かったのですが、髙野さんには数多くの提案をいただき、丁寧に導いていただきました。
課題の本質を理解し、時間を惜しまず打ち合わせを重ねてくださったことが、納得のいくパッケージづくりにつながったと感じています。ありがとうございました。
――お客様に寄り添う姿勢と、丁寧でスピーディーな対応が、信頼関係を築き、そして素晴らしいパッケージを生み出したのですね。
社内メンバーとの連携は、どのように進めましたか?髙野さんは福岡支社、福冨さんは本社(大阪)と、拠点が離れていることで、何か苦労した点はありましたか?
ザ・パック 髙野:
支社や営業所にいる営業にとって、設計担当者と遠隔でやり取りをすることは珍しいことではありません。遠隔でのやりとりにおいては、商品やパッケージなどの「現物」を前に直接コミュニケーションを取れない分、情報の伝え方には細心の注意が必要だと感じています。
今回は特に、ミリ単位での調整や、お客様の感覚的なご要望も正確に共有する必要があったため、図面や仕様とあわせて、その背景や意図まで含めて丁寧に伝えるよう心がけました。福冨さんとこまめに情報共有を重ねたことで、遠隔であってもスムーズな連携ができたと感じています。
――福冨さんにとって、髙野さんとのやりとりはいかがでしたか?
ザ・パック 福冨:
電話やチャットなどの社内コミュニケーションツールを用いて、髙野さんや福岡にいるデザイン担当者と打ち合わせを行い、お互い迅速な対応を心がけました。髙野さんは仕事が大変はやいという印象です。お客様への提案を終えたあと、すぐにどのような感触であったか報告してくれたので、設計の修正作業などもスムーズに進めることができました。
おわりに
――「めんたい重」のパッケージ開発を通して得た経験を、今後の営業活動において、どのように活かしていきたいですか?
ザ・パック 髙野:
実は当初、お客様からは「めんたい重」とは別商品のパッケージの相談をいただいていました。しかしながら、「めんたい重」のパッケージに関しても「何とか当社で取り組みたい」という強い思いがあり、私と同じ福岡支社にいるデザイナーの協力のもと、ザ・パック主導で提案を行ったことが、今回の開発のきっかけでした。
この経験を通じて、「誰にどんな価値を提供したいか」を最初に明確化しておくことが、良い結果につなげるために欠かせないことだと感じました。今回は、「『めんたい重』の魅力を最大限引き出したい」 「店舗で食べるような感動をテイクアウトでも感じてもらいたい」という、「提供したい価値」が最初からはっきりしていたことで、目指すべきゴールを早い段階で思い描くことができました。それにより、さまざまな調整が必要ななかでも、向かうべきところを見失わずに進めることができたと感じています。
今後はお客様からの相談に100%で応えることはもちろん、常に能動的な姿勢を持ち続けたいと考えています。市場にある商品に対しては、「自分なら、どんな切り口でアプローチできるか」を常に意識し、その視点を提案や開発に活かしていきたいです。
――今後もパッケージづくりのパートナーとしてお付き合いさせていただくザ・パックに、期待することは何ですか?
元祖博多めんたい重 馬渡様:
今後は、持ち帰り用のお弁当箱だけでなく、おみやげ商品についても、より魅力的なオリジナルパッケージの製作を検討しています。まだ具体的には十分に詰めきれておりませんが、引き続き、商品の特長を引き立てるご提案や、細部にわたるきめ細やかなご対応をいただければと願っております。
また、環境対応や多様な販売シーンに適した素材や形状のご提案など、これからの時代に沿ったパッケージづくりにも、ぜひお力添えをいただけますと幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
――最後にお伺いします。髙野さん、福冨さん、お二人にとって、「パッケージ」とは何ですか?
ザ・パック 髙野:
私にとって「パッケージ」とは、「ただの入れ物ではなく、手に取る人の感情を動かすきっかけ」です。
パッケージは、商品を引き立てる存在であると共に、第一印象や開封までの期待感を高める大きな役割を担っています。そして、デザインや素材感、形状といった要素ひとつひとつが、商品の魅力やブランドの世界観を的確に伝え、記憶に残る体験を生み出すと考えています。その体験の積み重ねこそが、消費者にとってのブランドへの愛着や信頼へとつながると信じています。
これからもお客様の想いに寄り添い、お客様が大切にされている商品の価値を最大限に引き出すパッケージづくりに関わり続けていきたいと思います。
ザ・パック 福冨:
「パッケージ」とは、「重要なコミュニケーションツールのひとつ」であると思っています。
たとえば、プレゼントを包装するパッケージの場合、製造、販売、配達などの過程を通して多くの人々の手から手に渡り、最後に、プレゼントを贈られた人の手元に届きます。その過程では、さまざまな人の「想い」が乗せられていると感じています。
贈られた人は、その積み重なった「想い」を感じとり、「ありがとう」といった会話が生まれる。そんな温かいコミュニケーションのきっかけとなるパッケージをつくることが、心豊かな社会につながっていくと考えています。
私自身としては今後、パッケージの設計者として、お客様の要望以上のパッケージ開発を行っていきたいです。また、まだ世の中にない構造、仕様の開発に一から挑戦してみたいと思っています。
2回にわたり、「2025日本パッケージコンテスト 包装技術賞 適正包装賞」を受賞した、「めんたい重」の持ち帰り用パッケージ開発の舞台裏をご紹介しました。
お客様と共につくり上げるオリジナルパッケージには、いつもさまざまな「想い」が込められています。
商品を包むだけの役割にはとどまらない、“特別な”オリジナルパッケージを、ザ・パックと共に生み出してみませんか?
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