【事例紹介〈.donut様〉】環境対応も、高級感も、諦めない ―オリジナルパッケージで実現した、複数課題の同時解決―

パッケージ(包装資材)選びに携わる食品企業の担当者様は、毎日、複数の課題に向き合っています。環境配慮、コスト、デザイン、機能性、販売現場での使いやすさ――。これらはそれぞれ相反することも多い要素です。
「環境に配慮したら、コストが上がる」「高級感を出そうとすると、環境負荷が高くなる」。こうした悩みは、誰もが経験するところではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、株式会社ワールド・ワン様が運営する生ドーナツ専門店「.donut(ドットドーナツ)」の事例です。
百貨店のバレンタイン催事で1個売り用オリジナルパッケージを導入するにあたり、カイソナル®加工の紙トレーをご採用いただきました。環境への配慮、実用的な機能性、デザイン性といった複数の要素を、いかに統合的に実現したのか。その検討プロセスと、導入後の成果についてご紹介します。
| <「.donut(ドットドーナツ)」について> 株式会社ワールド・ワン様が運営する兵庫県神戸市の生ドーナツ専門店です。 「神戸の『おいしい』を、ドーナツに込めて。」をコンセプトに掲げ、兵庫県産の小麦や牛乳を厳選して使用。毎日店舗で生地から丁寧に手づくりすることで、エアリーでありながらもっちりとした独特の食感を実現されています。 定番から季節限定まで、常時20種類程の豊富なフレーバーを展開しており、その美味しさと種類の多さから、地元の方はもちろん、神戸の手土産としても人気を集めています。 参照:.donut(ドットドーナツ)公式ホームページ |
目次
「大人ラグジュアリー」を表現するための、初めての1個売り施策
バレンタイン催事に向けた高級ドーナツの開発

.donut様のバレンタイン催事向けの新商品開発は、従来とは販売スタイルが異なる挑戦的な試みでした。ドットドーナツ事業部 販売・広報担当の明里様(トップ画像:左)は、今回の商品開発の狙いについて、次のように述べられています。
今回、期間限定で発売した「オランジュショコラドーナツ」と「ドバイショコラドーナツ」は、百貨店のバレンタイン催事向けに、「大人ラグジュアリー」をコンセプトとして開発した商品です。
素材面では自家製のドバイショコラを使用するなど、香り豊かなこだわりの食材を厳選し、特別感のある生ドーナツに仕上げました。
高単価が見込めるコンセプトであることから、品質感を高めるために、これまでとは異なる包材である「紙トレー」の導入を検討しました。
通常店舗においては、ショーケースにそのままの状態で並んでいるドーナツを販売時に店頭で箱詰めしています。そのため、今回のバレンタイン催事での「パッケージ(紙トレー)に入れた状態での販売」は、初めての試みでした。
高単価商品だからこそ、パッケージを通じて商品の価値をいかに伝えるか、そして販売現場でスムーズに扱えるかが、成功のカギとなることが予想されました。
初めての施策に向けた、期待と懸念
1個売り用オリジナルパッケージの導入に向けて、.donut様は大きな期待を持つ一方で、懸念も感じられていました。明里様は、当初の思いと課題について、次のように述べられています。
1個売り用オリジナルパッケージの導入は今回が初めての試みでした。
最大の懸念はコスト面でした。資材代が高くなる分、それを吸収できる価格設定が必須となるため、高単価のドーナツをどれだけのお客様にご購入いただけるか、当初は未知数な部分がありました。
一方で、百貨店側からの後押しもあり、導入に踏み切ることができました。バレンタイン催事という特別な場だからこそ、高級感のある1個売り用オリジナルパッケージが付加価値として機能するという期待も持って臨みました。
.donut様にとってこのオリジナルパッケージ導入は、単なる「コスト」の問題ではなく、バレンタイン催事での成功機会を最大限に活かすための、大切な投資判断だったのです。
パッケージに求められた、複数の要件

バレンタイン催事でのドーナツ販売にあたり、1個売り用オリジナルパッケージにはさまざまな機能が求められました。明里様は、パッケージ選定の優先順位について、次のように整理されています。
まず、高級感のある神戸らしいデザインであること。百貨店のバレンタイン催事という場にふさわしい、上質な印象を大切にしました。
次に、油染み防止です。生ドーナツという商品特性上、見た目の美しさを保つためにも欠かせない要素でした。
加えて、販売現場でのオペレーションを考慮し、組み立てやすさも重要なポイントとして検討しました。
.donut様が求めたのは、単なる「見栄えの良さ」だけではなく、「高級感」「耐油性」「組み立てやすさ」という複数の要件をバランスよく満たすパッケージです。
こうした課題に対して、ザ・パックが提案しご採用いただいたのが、カイソナル®加工を施したドーナツ用紙トレーでした。
カイソナル®加工が選ばれた理由 ~環境配慮と実用性の融合~
PFASフリー・プラスチックフリーのカイソナル®加工とは
油分の多い食品を直接包むパッケージには、耐油紙や耐油コーティング剤を塗布した紙を使用することがあります。耐油紙や耐油コーティング剤には、「PFAS※」という「永久化学物質」とも呼ばれるほど分解されにくい性質の物質が含まれている場合があります。PFASは、環境や人体への影響が懸念されることから、欧米を中心に規制が強化されており、日本でも今後に向けた対応が求められています。
※有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称
参照:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」(参照日2026月3月24日)
一方、カイソナル®加工は、海藻由来の原料を活用した次世代型の耐油コーティングです。
PFASやアクリル系化学物質を一切使用せず、プラスチックフィルムも使用しない「プラスチックフリー」を実現しながら、食品パッケージに求められる高い耐油性能を維持しています。
パッケージに印刷されるザ・パックオリジナルの「カイソナル®マーク」は、この環境配慮型の加工が施されていることを示すマークとして、消費者に対して企業の環境配慮への姿勢を示します。 
さらに、自然界での分解が可能であり、万が一自然の中に廃棄された場合でも、土壌や水質、生態系への影響を最小限に抑えることができます。加えて、食品添加物として認可された原料のみを使用しているため、食品に直接触れるパッケージとしての安全性も確保されています。
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【ザ・パックの挑戦】未来を包む、PFASフリーパッケージ~PFASをめぐる市場状況~
【PFASフリー】サステイナブルな耐油コーティング「カイソナル®加工」とは
.donut様は、この環境特性を高く評価されました。明里様は、カイソナル®加工の採用の決め手について、次のように述べられています。
決定的な要素となったのは、環境への配慮です。PFASフリーかつプラスチックフリーという環境特性は、現代の食品パッケージに求められる重要な要素として高く評価しました。
次に、高い耐油性です。チョコがコーティングされた生ドーナツという商品特性上、油分やチョコをしっかり受け止めてくれる点は実用面で欠かせない条件でした。
そして、安全性です。食品添加物由来の原料を使用しており、食品に直接触れるパッケージとして安心して利用できる点も、大きな決め手となりました。
実包テストを通じた、懸念の払拭

パッケージ導入にあたっては、課題がありました。
期間限定ドーナツを複数個購入した場合、1個売り用オリジナルパッケージに入ったドーナツをさらに外箱に詰め合わせることになります。そのため、今回の期間限定ドーナツにフィットしながらも、既存の外装箱にも合うサイズ設定が求められました。
.donut様とザ・パックは、実包テストを重ねることで、この課題に丁寧に向き合いました。チョコレートコーティングされた生ドーナツを実際に箱に収めてみるプロセスを通じて、サイズ感、形状、組み立てやすさなど、すべての要件が満たされていることを確認していきました。
明里様は、このプロセスについて、次のように述べられています。
導入前の主な懸念は、サイズのバランスについてでした。既製品のドーナツ箱にきっちり収まるサイズであることと、実際のドーナツがしっかり収まるかどうか、両立できるか不安な部分がありました。実包テストを通じてサイズや形状を丁寧に確認・調整いただいたことで、こうした懸念が解消され、安心して導入に踏み切ることができました。
高級感のあるデザイン・設計で商品の価値を引き立てる

視認性と品格を兼ね備えたトレー設計
パッケージのデザインや形状について、.donut様が重視していたのは、「見た目」だけではありませんでした。明里様は、ザ・パックへの要望を、次のように述べられています。
パッケージのデザイン・形状において、大切にしたポイントは2つです。
まずデザイン面では、神戸らしさを表現することを重視しました。百貨店のバレンタイン催事にふさわしい、神戸ならではの上質な雰囲気を大切にしました。
次に形状面では、自立しながらも中身が見える設計を求めました。店頭での見栄えはもちろん、お客様がドーナツの内容を手に取る前に確認できるよう、視認性を確保することを重要なポイントとしました。
「上質な神戸らしさ」と「視認性」を両立させるトレー設計というご要望に対し、ザ・パックが提案しご採用いただいたデザインはこちらです。

チョコレートコーティングされた茶色のドーナツをより引き立たせるため、パッケージはあえて白ベースにてご提案しました。また、ドーナツをしっかりと包み込みながらも、見える面積を極力大きく確保することで、店頭での見栄えと視認性、内容物保護と持ちやすさを実現しています。
明里様は、ザ・パックがご提案したデザイン・設計面での工夫について、こう述べられています。
ドーナツが見える面積を広く確保した点、そして白ベースでドーナツが映えるデザインは、商品の魅力を視覚的に引き出すうえで非常に効果的でした。お客様がひと目で商品の美しさを感じ取れる仕上がりになったと感じています。
また、高級感をイメージしたカットラインやデザインも、「大人ラグジュアリー」というコンセプトとよく合致しており、百貨店の催事場にふさわしい品格のあるパッケージに仕上がったと満足しています。
販売現場での運用効率向上を実現した「オリジナル紙トレー」

.donut様が紙トレーの導入を検討した最初の主な理由は、「高級感・上質さ」を演出することでした。しかし、この決断により、予想外の効果がもたらされました。
通常店舗での販売時には、ショーケースに並ぶドーナツをワックスペーパーで巻き、箱に詰めるという作業が必要です。ところが、紙トレーに入れた状態でドーナツを陳列することで、この梱包作業が簡略化されたのです。
明里様は、この予想外の効果について、次のように述べられています。
今回、1個売り用紙トレーを導入して、もっとも良かった点は、百貨店の販売員の方々が商品をスムーズに扱えていたことです。紙トレーがない場合、トングを使ってドーナツをワックスペーパーに巻くという手間が必要になります。今回、1個売り用紙トレーを導入したことで、その工程が不要となり、販売現場でのオペレーションが大幅にスムーズになりました。催事という限られた時間のなかで、販売員の方々の負担軽減につながった点は、期待以上の効果だったと感じています。
オリジナルパッケージによる高付加価値化を追求した決定が、思わぬかたちで販売現場の効率化にもつながったのです。パッケージ選びは、見た目だけの問題ではなく、実際の運用場面までを見据えた判断が大切だということが、この事例からもうかがえます。
導入後の成果 ~顧客反応と社内評価~

お客様の反応と現場からの評価
バレンタイン催事において、このドーナツ1個売り用紙トレーを実際にご利用いただいた結果、明里様は次のように述べられています。
お客様からは「かわいい」というお声を多くいただき、大変好評でした。バレンタイン催事という特別な場にふさわしい、手に取りたくなるパッケージとして喜んでいただけたと感じています。
社内からの反応についても、最初は新しい形状に戸惑う場面もあったようですが、慣れてしまえば組み立ても簡単で、現場スタッフからも使いやすいと好評でした。販売現場でのオペレーションにも大きな支障なく導入できたと感じています。
環境配慮が実践的に活かされた事例
今回の事例で注目すべき点は、環境配慮が単なる「理想」ではなく、実際の選択として活かされたことです。
.donut様がカイソナル®加工を選定した決め手は、PFASフリー・プラスチックフリーという環境特性でした。
従来、食品パッケージにおいて環境配慮と高い耐油性を両立させることは、難しいとされていました。しかし今回、カイソナル®加工という技術により、その両立が実現したのです。
.donut様は、その可能性を信じ、実際に導入という決断を下しました。「環境への配慮」という企業の想いが、商品を包む「オリジナルパッケージ」というかたちで具現化されたのです。
.donut様の事例から見えてくる「オリジナルパッケージ」の価値

オリジナルパッケージの多面的な役割
.donut様の事例を見ると、オリジナルパッケージの役割がいかに多面的であるかがわかります。オリジナルパッケージは単に商品を入れるだけではなく、複数の目的を同時に果たす必要があります。
以下の表は、.donut様のオリジナルパッケージが、どのような役割を、どのように実現したかをまとめたものです。
| 役割 | 実現方法 | 生み出された成果 |
|---|---|---|
| 商品保護 | カイソナル®加工による耐油性 | 油染みを防ぎ、見た目の美しさを保つ |
| 商品の魅力向上 | 白ベースのデザイン、高級感を意識した設計 | 高級感を演出し、購買意欲を向上させる |
| 商品情報の伝達 | トレー形状による視認性確保 | 商品の内容を一目で理解させる |
| 作業効率化 | 1個売り用パッケージの採用により、梱包工程を削減 | 販売現場の作業を効率化する |
| 企業姿勢の表現 | PFASフリー・プラスチックフリーのカイソナル®加工(オリジナルマークの印刷) | 環境配慮への企業姿勢を示す |
このように、ひとつのオリジナルパッケージが、複数の役割を同時に果たしているのです。
商品を保護するという基本機能から企業姿勢の表現まで、パッケージが担う役割は非常に多面的です。.donut様の事例は、これらの要素をバランスよく実現した実践的な事例といえるのではないでしょうか。
カイソナル®加工が示す、パッケージの新しい可能性

.donut様の事例は、食品パッケージ業界全体への重要な示唆も含んでいます。
これまで、食品パッケージ選びでは、耐油性と環境配慮のバランスをどう取るかが、課題とされてきました。しかし、カイソナル®加工のような次世代型技術の登場により、その状況は変わりつつあります。環境配慮と高い機能性を同時に実現するパッケージ技術が、いよいよ実用化の段階へと進んできたのです。
.donut様のオリジナルパッケージに含まれる「商品保護」「視認性確保」「高級感の演出」「作業効率化」「環境配慮への企業姿勢の表現」という要素は、環境に配慮した素材選びと、使いやすさを考えたパッケージデザイン・設計が組み合わさることで実現されました。
今後、食品パッケージにおいて、環境配慮と実用性の両立は、「理想」ではなく「必須の要素」になっていくでしょう。
さいごに ~.donut様からのお声~
今回のパッケージ開発を通じて、.donut様はザ・パックのサポート体制についても、高く評価してくださいました。明里様は、今後への想いを次のように述べられています。
デザインから資材提供まで一括してご対応いただける点は、大変心強く感じています。今後もさまざまな商品やシーンに合わせたパッケージ開発において、引き続きトータルでサポートいただけることを期待しています。ぜひ長いお付き合いをよろしくお願いいたします。
今回ご紹介した.donut様の事例のように、オリジナルパッケージで環境配慮や作業効率化、高付加価値化を実現したいとお考えの方は、ぜひザ・パックにご相談ください。お客様の課題に合わせた、最適なパッケージソリューションをご提案させていただきます。
総合パッケージメーカーであるザ・パックは、お客様が考える課題に向き合い、パッケージを通して解決するアイデアをご提供します。
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