SDGsに適した環境対応の箱・袋・パッケージづくりに必要なこと
持続可能な開発目標(SDGs)への国際的な関心の高まりを受け、環境に配慮した箱や袋などのパッケージの需要が高まっています。環境対応型パッケージにおける「脱プラ」の流れから紙製パッケージが増加していますが、その中でも素材選びと設計・製造上の工夫がポイントになります。
今回は、SDGsにかなった箱・袋づくりに求められることと環境対応型のパッケージづくりの一例をご紹介します。
SDGsで環境に配慮した箱・パッケージに求められること
2015 年に国連が採択したSDGs(エスディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」のことです。先進国を含む国際社会全体が2030年に向けて環境・経済・社会が抱える問題を解決し、明るい未来を作っていくための17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsは今や政府や自治体に限らず、民間企業においても取り組むべきだとする気運が国際的に高まっていて、環境課題や社会課題に配慮することなく利益を出すことは難しい時代になろうとしています。
SDGsの全17のゴールのうち、紙製品や箱、パッケージ類にかかわるものはおもに次の3つです。
・「つくる責任・つかう責任」(生産・消費)
・「海の豊かさを守ろう」(海洋資源)
・「陸の豊かさも守ろう」(陸上資源)
具体的には、プラスチックの使用を極力減らす(「脱プラ」)、古紙リサイクル紙やFSC®認証※紙を使うといった取り組みが求められると考えられます。
紙製=脱プラだから良い、というわけではなく、紙製のパッケージの場合にはさらにその素材の選定に配慮することで、より持続可能な社会への取り組みを高めることになります。
※FSC®認証……適切に管理された森林に由来する製品であることを保証する認証制度。FSC®認証制度(森林認証制度、NPOであるFSC(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)が運営する国際的な制度)によるものであり、認証を受ければ製品にFSC®認証のロゴマークを入れることができる。
参考資料:
「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド [第2版](本編)」(環境省)
JAPAN SDGs Action Platform(外務省)
環境ラベル等データベース「FSC®認証制度(森林認証制度)」(環境省)
SDGsに対応する箱・パッケージ用の紙素材について
SDGsに対応した箱やパッケージは、今やさまざまな業界で開発され、採用されています。ここではザ・パックが開発してきた様々な紙素材についてご紹介します。
・古紙リサイクル紙の活用、オリジナル紙の開発
新たな資源を消費せず循環させるため、古紙リサイクル紙を活用しています。
特に紙資源は各自治体での再資源化の仕組みが確立しているため、パッケージの底面などに「recyclable(リサイクル可能)」と表示することで消費者にもリサイクルを促せるような工夫をしています。
・バナナペーパー
アフリカのザンビアで生産され、廃棄されるバナナの茎から採れる繊維を混ぜ込んだ混抄紙を開発しています。
紙袋にバナナペーパーを使うことでザンビアに雇用を創出しており、同国の貧困問題の解決にもつながる取り組みとなっています。
・回収衣類混抄紙
回収したデニムなどの古着を細かく粉砕し、紙に混ぜ込んだ原紙です。リサイクルできない古着をごみとして破棄するのではなく、紙の原料として再利用することができるようになりました。
紙袋や、段ボールなどに加工することが可能で、混ぜ込んだ繊維が紙の表層に抄き込まれたオリジナリティの高い風合いが特徴です。
ザ・パックでのSDGs(環境対応)に関するそのほかの取り組み
パッケージの総合メーカーであるザ・パックでは、前述した素材の開発のほかにも様々な取り組みを進めています。ここではその一例をご紹介します。
・再生紙やリサイクル資材の利用
産業古紙や市中回収古紙(PCW)などをリサイクルして古紙再生紙としてパッケージに使用するほか、森林認証紙の活用事例も増えています。サトウキビのしぼりかすを利用した非木材紙である「バガス紙」の利用も促進し、環境配慮にアプローチしています。
今後は、使用済みの紙袋やパッケージを回収し再資源化する取り組みも進めていきます。
・製造機械の工夫
お弁当用パッケージで減プラのため本体をプラスチック製のものから紙素材のトレーに変更する事例が増えています。その際、プラスチック製のふたと相性の良いトレーにするための改良を行い、本体の上部を折り返すことでぴったりとはまる箱にすることができました。
中仕切り一体型のオール紙素材のランチボックスも製造可能です。
・設計の工夫
営業現場で求められている需要に対し、設計で既存の仕様に対してひと手間加えることからSDGsに対応する新しいパッケージの開発を行っています。
例えば紙箱を破棄しやすいようなつまみを作ったり、梱包に使うパーツを減らし紙資源の使用量を抑えたり、といった工夫がそれにあたります。
また、過去のブログでもSDGsに関連する取り組みをご紹介しています。
・紙製軟包装「クラフトシリーズ」の開発
https://www.thepack.co.jp/blog/products/a13
・紙製配送資材をKASHIYAMA様と共同開発
https://www.thepack.co.jp/blog/products/a12
設備導入などの大きな動きというより、日々細かい工夫と進歩を重ねられることはメーカーであることの強みでもあります。
まとめ
パッケージづくりを通じてSDGsに取り組むことは、森林や海洋資源の保護に貢献する活動だと言えます。環境に配慮したパッケージの需要は今後ますます増えていくことでしょう。
SDGsへのアプローチが結果的に企業の評価を高めるという視点もあり、2006年に国連が提唱したESG投資(環境や社会に対して積極的な取り組みをする企業に投資すること)がマーケットの主流になりつつあることも見逃せません。
ザ・パックでは紙素材に古紙リサイクル素材を用いる、設計の工夫でプラスチックの使用量を減らすなど、SDGsに対応するパッケージを開発し、環境に配慮した製品作りを目指しています。
箱や袋などのパッケージを環境対応のものへと生まれ変わらせたいというご要望がありましたら、パッケージづくりのプロであるザ・パックにぜひご相談ください。
これからも「つつむを知る」では、他のコンテンツでは発信できないパッケージの最新トレンドや、パッケージ製作をご検討中の皆さまの役に立つ情報を色々とお伝えしていきます!
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