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【パッケージブランディング事例】株式会社フジバンビ様 「カリネオ」パッケージデザイン開発秘話

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【パッケージブランディング事例】株式会社フジバンビ様 「カリネオ」パッケージデザイン開発秘話

“伝統的なカリントウの新しい/Neoなかたち。”
それが、2022年4月に“黒糖ドーナツ棒”でおなじみの菓子メーカーである株式会社フジバンビ様が発売した新商品の「カリネオ」のコンセプトです。
参照:株式会社フジバンビ「カリネオ誕生」(参照日:2022年11月15日)

実はこの商品のパッケージおよびブランディングには、ザ・パックのパッケージクリエイターが携わっています。

パッケージデザイン(グラフィックデザイン・構造設計)を専門におこなうパッケージクリエイターは全国に約60名。日本各地にある支社や営業所の営業担当とともに、北海道から沖縄まで、さまざまな地域のパッケージを手掛けています。

今回は、株式会社フジバンビ様の新商品「カリネオ」の誕生に、ザ・パックのパッケージクリエイターがどのように関わっていったのか、対談形式でお客様の声を交えながらご紹介します。

対談者紹介

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大手菓子メーカー2社の役員を経験後、2018年に株式会社フジバンビの代表取締役社長に就任。

blog_100_3l_鶴見課長.jpg
1989年入社。現在は、九州のお客様のパッケージに関わるディレクション・デザインを担当。
主にトータルブランディング企画を通じたデザインをおこなう。約4年前より株式会社フジバンビ様を担当。

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1987年入社。現在は、熊本県内のお客様を中心に営業活動をおこなう。

新商品開発の背景

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――今回の新商品開発の背景とパッケージに関する課題を教えてください。

フジバンビ 田中社長:
黒糖ドーナツ棒を製造するフジバンビの創業当初の主力商品は「かりんとう」でした。 そんなフジバンビの原点ともいえる「かりんとう」に立ち返り開発を開始。「ドーナツ棒」同様、生地と蜜にこだわり、サクッと軽い、現代の新しい「かりんとう」を目指しました。
昔ながらのイメージが強い「かりんとう」を普段は手に取らない世代にも、その美しさを再発見してもらえるような、モダンで親しみやすい形状や味付け、そしてパッケージにしたいという思いで開発を始めました。

百貨店での販売を想定していたため、パッケージに関しては「真新しさのある目を引くデザインであること」、「チャック式で保存ができ、高級感のある材質の使用」を希望しておりました。
デザインをご依頼したのが商品開発の途中段階であったことから、パッケージのデザイン、材質選び、サイズにいたるまで抽象的な要望が多く、形にしていただくのが困難だったかと存じます。

――貴社を担当したディレクター兼デザイナーの鶴見さんについての印象はどのようなものでしたか。

フジバンビ 田中社長:
ザ・パックとの取引が始まったのは、私がフジバンビの社長になった4年前からです。その間コロナ禍で観光系の売上が激減しましたが、新製品の開発で何とか業績の落ち込みを回避することができました。

大半の新製品のパッケージには鶴見さんのデザインを採用しました。
鶴見さんから提案いただくデザインは、いくつものコンセプトで構成されたもので、素晴らしい内容でした。お取引先からも、デザインやパッケージがすごく評価されご採用いただくケースがたくさんありました。
お客様が感動するくらいの提案は鶴見さんの永年に渡る仕事に対する真摯な取り組みがあってのものと思います。

フジバンビに対するご意見やアドバイスも貴重な内容でした。今後ともどんどんお願いしたいです。

提案のポイントと採用デザインについて

――今回の新商品パッケージブランディングにおいて、一番苦労した点を教えてください。また、ブランディングにあたり一番大事にしていることは何ですか。

ザ・パック 鶴見:
土地ごとの駅や空港で一番目を引く看板などの広告を出しているメーカーが、その土地の老舗や人気メーカーであることが多いです。フジバンビ様は熊本県で最も有名な菓子メーカーで、発売当時から変わらない人気の「黒糖ドーナツ棒」を販売されています。

「決して損なわないように、そのブランドを大切にする」
老舗のお客様からお手伝いの機会をいただくとき、いつも念頭に置いていることです。
そして、「挑戦」。
田中社長率いる新しいフジバンビ様には、お菓子づくりや原料、流通販売網にいたるまで、何か素晴らしい可能性を感じました。そのなかでも今回の新商品「カリネオ」は最たるもので、ディレクション・デザインの依頼をいただいた際は、「今までの味やネーミング、パッケージスタイルなどを一変するご提案を」と考えました。

また、近年は“環境” というテーマを無視することができません。従来のコストや商品保護目的だけのカタチではなく、思いや狙いをお客様に届ける“一歩先”を強く感じ、ご提案させていただきました。


▼提案書(初回提案時の資料から一部抜粋)
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――今回の新商品のネーミングおよびトータルデザインの発想起源を教えてください。

ザ・パック 鶴見:
フランスのメゾンカイザートラディショナル小麦粉を使用し、洋風の味付けにした新商品の「かりんとう」。古典的な“和”のイメージが強い「かりんとう」を、新しい価値観をもった消費者、特にミレニアル世代へと広めたいと考えたのが第一でした。

ブランドネーミングは「カリネオ」。
カリカリとした「KARINTO」の「KARI」に、新しい=「NEO」を融合させた「KAR/NEO」です。
「/(スラッシュ)」は“+(プラス・足す)”の意味をもつことから、「I」を「/」に変えて、いままでと同じではないということ、「新しいかりんとう」であることを、造語に込めて表現しました。パッケージにはブランドイメージを繰り返し印象付けるように、カリッと感を意識した直線的でかわいい「エレメントパターンデザイン」を使用しています。
パッケージの形式には、大切に食べていただけるチャック袋を選択。材質は真っ白い小麦粉がイメージでき、環境対応にもつながる紙へと転換。安価な駄菓子が決してイメージされないよう、魅力的で価値にこだわった商品に見える努力をいたしました。

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――新商品のパッケージに、鶴見さんのデザインを採用された一番のポイントを教えてください。

フジバンビ 田中社長:
デザインはもちろんのこと、当社の意図しているコンセプトをもとに、商品名やデザインへ込めた意味合い、ブランディングも含めて提案いただいた点です。

デザインにおいては、パッケージ右側の柄のパターンと商品名のシンプルなパッケージで、余白が美しく、希望の「真新しさのある目を引くデザイン」を形にしてくださいました。
また、柄のパターンは、ブランドの統一感を出しつつ、今後も色違いで別味の展開ができる点で、「今後当社の新しい商品ブランドとして育てていきたい」という思いにマッチしました。

さらに、商品名「カリネオ」 は、「リ」の部分をドイツ語で「&(アンド)」を意味する 「/(スラッシュ)」で表現し、かりんとうらしさを活かした昔ながらの美味しさ、枠にとらわれない味・食感の新しい美味しさが融合した“NEO”かりんとうということでご提案いただきました。
開発意図を組んでいただいた商品名に込められた思いもロゴも、非の打ち所がない素敵なデザインだったため、採用させていただきました。

――新商品「カリネオ」パッケージについてのお客様の反応はいかがでしょうか。

フジバンビ 田中社長:
お客様より、「パッケージのデザインが良く、手土産として友人や上司に渡したいです。手土産は定番化しているので、“いつもと違う手土産感”があると思います」、「パッケージのデザインがおしゃれ」などの声をいただいております。

「カリネオ」パッケージ開発を終えて

――田中社長より、「デザイン決定後に実際の色の出方が思うようにいかず、印刷方法の調整や機械適合、価格面等の調整など、ご尽力いただいた」というお話がありました。営業として「カリネオ」のパッケージをつくり上げていくなかで苦労した点や心がけたことは何ですか?

ザ・パック 堀本:
当初グラビア印刷で進めていたのですが、原紙の裏使いをしていたため、きれいに色が乗らず、最終土壇場で印刷方法をフレキソに変更しました。それにより、フジバンビ様にご納得していただける印刷ができました。
チャックの有無については、価格面で最後まで悩まれておりましたが、「良いものをつくりたい」というフジバンビ様のお気持ちを汲み、できる限りの価格調整をさせていただきました。
今後もフジバンビ様とは、良いパッケージづくりを通してお付き合いさせていただきたいと思っています。

――営業から見た、鶴見さんの印象を教えてください。

ザ・パック 堀本:
とにかくお客様や商品を、誰よりも研究し、誰よりも勉強し、誰よりも愛し、そして思い入れがすごい。その成果であるプレゼンには、毎回感動してしまいます。
私も含めてですが、一緒に仕事をしたお取引先の社長やパッケージ担当の方、企画の方々は、みんな鶴見のファンになってしまうんです。

おわりに

――今後、ザ・パックに貴社のパートナーとしてどういったことを期待されていますか。

フジバンビ 田中社長:
今まで通り、スピード感をもって独創的なブランド開発、新製品開発の支援をお願いします。

――最後に、鶴見さんにとって、パッケージ(デザイン)とは何ですか。

ザ・パック 鶴見:
最近の消費者は、以前のようには物を買わなくなったともいわれます。それは一方で、「ちゃんと時間をかけて買いたい」という気持ちへと変化している現れだと思います。つまり、“本物”を見分けているのだと、とらえています。
私たちは、単に価格や流行を追いかけてパッケージデザインを考えてはいけません。情報収集などに時間をかけて“本物”を見分けられる現代の消費者に受け入れてもらえるよう、適正な商品提案とデザインを真摯に考えることが、もっとも重要だと思っています。

今回、「KAR/NEO」のブランディングに携わることができ、大変光栄でした。今後のフジバンビ様においてロングライフデザインとして展開されるよう、心から期待しています。

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これからも「つつむを知る」では、他のコンテンツでは発信できないパッケージの最新トレンドや、パッケージ製作をご検討中の皆さまの役に立つ情報を色々とお伝えしていきます!
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