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【食品一次容器】改正食品衛生法―ポジティブリスト制度とは?―

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【食品一次容器】改正食品衛生法―ポジティブリスト制度とは?―

コロナ禍における、食品テイクアウト・フードデリバリー需要の拡大や、世界的に加速しているプラスチック使用量削減に向けた取り組みを背景に、紙製の食品一次容器(食品が直接入るパッケージ)のニーズが高まっています。
食品が直接触れるパッケージであることから、衛生面への配慮が不可欠な食品一次容器。ザ・パックの東京工場と大阪工場は、食品安全システム認証「FSSC22000※」を取得しているため、衛生面でもご安心いただけるパッケージの提供が可能です。
※FSSCとは、「Food Safety System Certification」の略称で、「安全な食品を製造するための仕組みづくりの認証」のことを指します。取得するためには設備面の整備や、運用ルールの設定など、さまざまな工夫が必要となります。
参考:FSSC22000認証を取得しました

食品一次容器の製造においては、製造時の設備環境だけでなく、パッケージの「材料」にも配慮が必要です。
そこで今回は、2018年に公布された改正食品衛生法における変更点を中心に、食品一次容器の「材料」を選定するうえで基準となる法律やガイドライン、注意点についてご紹介します。

改正食品衛生法で導入されたポジティブリスト(PL)制度

飲食による健康被害の発生を防止するために制定された「食品衛生法」。パッケージに関する事項としては、「食品に使用する容器包装についての規格基準」が定められています。

2018年6月に公布された改正食品衛生法では、「使用する物質や材料の許可制度」の部分が大きく変更されました。改正前の食品衛生法では、“禁止”されている材料や物質をリスト化し、リストにあるもの以外は許可する「ネガティブリスト(NL)制度」が採用されていました。一方、改正後の食品衛生法では、使用が“許可”された材料や物質をリスト化し、リストにあるもののみを許可する「ポジティブリスト(PL)制度」が導入されています。

blog_118_2l_NL制度とPL制度のイメージ.jpg
「ネガティブリスト(NL)制度」では、リストに記載されていない品目は「使用してよい」と判断されます。使用不可とすべき明確な根拠がないものや未知のものについてはリストに掲載されないことから、使用できる品目の範囲は「ポジティブリスト(PL)制度」より広くなり、安全性が低くなります。

欧米をはじめ、海外ではポジティブリスト(PL)制度が主流です。そのため、世界的に規制されている材料であっても日本では使用できるという状態になっている品目もありました。それを受けて2018年の法改正では、国際基準に合わせるべく「ポジティブリスト(PL)制度」が導入されました。

ポジティブリスト(PL)制度の対象範囲

blog_118_3l.jpg
パッケージの材料のうち、現在ポジティブリスト(PL)制度の対象とされている材料は、「合成樹脂」のみです。そのため、食品用であっても、紙や木、ガラスなどから成るパッケージ(合成樹脂を使用していないもの)は、ポジティブリスト(PL)制度の対象外となります。
パッケージに幅広く使用されていることや、欧米等の諸外国においてもポジティブ(PL)制度の対象とされていることなどの理由から、最初の段階として「合成樹脂」が対象となりました。

合成樹脂が含まれるパッケージ関連アイテムの例としては、下記のようなものがあげられます。

  • 合成樹脂でできたパッケージ(容器包装)
  • 食品が接触する面に合成樹脂の層を加工したパッケージ(容器包装)
  • 印刷用インキ
  • ラミネートフィルムにおける中間層の合成樹脂
  • など


参照:
厚生労働省「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について」(参照日2023年4月25日)
厚生労働省「改正食品衛生法における器具・容器包装の新たな制度~食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について~」(2022年3月)

紙製一次容器製造時の注意点

“紙製”の食品一次容器であっても、耐油機能等を付与するために、合成樹脂を含む加工や印刷を施す場合、ポジティブリスト(PL)に記載されている材料を使用する必要があります。

また、特に注意しなくてはならないのは、食品が直接触れる面(パッケージ内側)にデザインを印刷する場合です。
現時点では、食品衛生法上のポジティブリスト(PL)に記載されている印刷用インキはありません。つまり、印刷用インキを直接食品に触れさせることは禁止されています。しかし、印刷面の上に「加工」を施す(食品に直接接触しない中間層に印刷インキを使用する)ことで、食品が触れる面にもデザインを施せる場合があります。

印刷面の上に加工を施す場合、加工に使う材料にも注意が必要です。法規制や業界団体等による自主規制に適合した加工材料であっても、中間層にあたる印刷用インキに含まれる合成樹脂の物質が、加工部分(コート層)から一定量を超えて溶出または浸出して食品に触れる可能性があるものについては、使用することができません。

blog_118_4l_合成樹脂層の浸出イメージ図.jpg
参照:
厚生労働省「ポジティブリストの対象範囲等について(第8回食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会)」(2019年6月13日)
印刷インキ工業連合会「改正食品衛生法に関するQ&A」(2020年5月1日)

経過措置と日本のポジティブリスト(PL)制度の今後

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食品衛生法へのポジティブリスト(PL)制度の導入は2020年6月1日に施行され、5年間の経過措置期間が設けられています。
経過措置期間は、施行日以前に製造または輸入されたパッケージ(容器包装)にのみ適応されます。そのため、施行日後に製造または輸入されたものについてはポジティブリスト(PL)制度に準拠しなければなりません。

先述した通り、ポジティブリスト(PL)制度の対象は「合成樹脂」に限定されているため、ザ・パックが主に取り扱う「紙」については対象外です。しかしながら、法律としては定められていないものの、紙の安全基準については業界団体の自主基準により規定されています。
日本製紙連合会では、食品に接触することを意図とした紙・板紙の自主規格を定め、ネガティブリスト(NL)を選定しています。
参照:日本製紙連合会「食品に接触することを意図した紙・板紙の自主基準について」(2007年5月21日)

従来の「自主規制」から「法規制」へと切り替える動きが始まったばかりの日本。食品関連の企業様においては、すでにポジティブリスト(PL)制度が構築されているEUなどとの取引にあたって、対応に苦労しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今後、日本の食品輸出を拡大させていくためにも、国際基準に近づけた法改正が必要となるため、段階的にポジティブリスト(PL)の対象範囲を広げていくことが予定されています。
参照:日本貿易振興機構(ジェトロ)「海外向け食品の包装制度調査」(2022年3月)

社会情勢がめまぐるしく変動し続けるように、パッケージをとりまく環境も日々変化しています。
今回ご紹介した食品衛生法のポジティブリスト(PL)制度の対象についても、今後その対象に「紙」が含まれることになるかもしれません。

「海外向けのパッケージを製造したいけど、どのようにつくったら良いかわからない」、「改正食品衛生法に合わせてパッケージの仕様変更を検討している」など、パッケージに関するお悩みをお持ちの方は、ぜひザ・パックにご相談ください。
パッケージの専門家として、使用用途や使用場所に合わせた最適なパッケージをご提案します。


総合パッケージメーカーであるザ・パックは、お客様が考える課題に向き合い、パッケージを通して解決するアイディアをご提供します。
具体的な課題、ご相談やご要望をお持ちの方は、お手数ですが商品お問い合わせまで一度ご連絡ください。

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これからも「つつむを知る」では、他のコンテンツでは発信できないパッケージの最新トレンドや、パッケージ製作をご検討中の皆さまの役に立つ情報を色々とお伝えしていきます!
ザ・パックへのお問い合わせやご依頼は、お問い合わせフォームよりお寄せください。

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